第4回テーマ 診療報酬 ― 病院の収入構造を知る
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1.病院はどこから収入を得ているのか
皆さんは、病院はどのように収入を得ているのかを考えたことがあるでしょうか。
一般の企業であれば、商品やサービスを販売し、その売上が収入になります。一方、病院は医療という公共性の高いサービスを提供し、その対価として診療報酬をもらいます。この診療報酬の内訳は、全体の1ー3割が患者さんが会計で支払うもの、残りが健康保険などの公的医療保険から支払われるものとなっています。これがいわゆる「国民皆保険制度」と呼ばれていて、日本が世界に誇る医療制度の一つとなっています。
さて、診療報酬は国が定めた全国共通の価格表と考えることができますが、同じ検査であれば、基本的には全国どの医療機関でも同じ点数で評価されます。例えば、スーパーでは同じ商品でも店舗ごとに価格が異なることがありますが、医療では、「この病院は血液検査が安い」「隣の病院は心電図が高い」ということは発生しないのです。こうして、誰もが公平に必要な医療をどこでも受けられるようになっています。
2.診療報酬はどのように決まるのか
診療報酬は、2年ごとに国によって改定されます。これは、医療技術の進歩や人口構造の変化、社会保障費の増大などを踏まえて、「どの医療をより評価するのか」「どの分野を充実させたいのか」という政策的なものが反映されています。そのような意味では、診療報酬は単なる価格表ではありません。日本の医療をどの方向へ導いていくのかという、国からのメッセージにもなっています。近年、在宅医療や地域包括ケア、多職種連携、医療DXなどを後押しする評価が充実してきましたが、これらが良い例と言えます。
診療報酬は「1点=10円」を基本として設定され、診察、検査、画像診断、手術、リハビリテーション、入院など、それぞれの医療行為に点数が定められています。例えば、静脈採血であれば40点(400円)という具合です。また、病院によっては、実施した医療行為ごとに評価される「出来高払い」と、入院期間や病名などをもとに包括的に評価される「DPC制度」が組み合わされて運用され、病院の機能によっても収入の仕組みが異なります。このように、診療報酬は長年にわたる制度が積み重ねられ、非常に複雑な仕組みへと発展してきました。それゆえに、診療報酬を理解するということは、病院経営を円滑に進めるためのノウハウに繋がり、さらには日本の医療の行く末を読み解くヒントも見えてきます。医療者にとって、診療報酬にしっかりと向き合う意義は、想像以上に大きいと言えます。
3.検査室と診療報酬の関係
それでは、臨床検査技師にとって診療報酬はどのような意味を持つのでしょうか。
私たちが日々実施している血液検査や尿検査、生理検査、微生物検査などの多くは、診療報酬で評価されています。つまり、1つ1つの検査項目に対して点数設定がされ、報酬としてもらえる金額が決まっているわけです。こうした点数を知っていれば、どの検査をすればどの程度、病院の売上に貢献できるのかを把握することができます。加えて、検査室としての目標管理や個人へのモチベーションにも繋げることができるかもしれません。加えて、診療報酬には、算定要件(施設基準を含む)が設けられており、これを満たさないと報酬がもらえない仕組みとなっています。この算定要件は、検査の質や医療の質を担保する目的でもあり、診療報酬において重要な要素となっています。
臨床検査技師は、臨床検査のエキスパートであり、精度管理のエキスパートです。診療報酬が単なるお金の話ではなく、実は検査の質や医療の質を担保する意味も持っている以上、臨床検査技師も理解する必要があります。そもそも、臨床検査の診療報酬は、自分たちの給与の源泉でもあることを忘れてはいけません。これを機会に、診療報酬の視点で持って臨床検査をマネジメントすることを新たな強みとするのも良いのではないでしょうか。
次回は、「コスト管理」をテーマに、病院はどこにお金を使っているのかを取り上げます。収入だけではなく支出にも目を向けることで、病院経営をより立体的に理解していきましょう。
参考:イラストで振り返る



